2013年6月4日

SSDは使えるか?

ファイアウォールとして使っているサーバのHDDが壊れてからしばらくになる。このHDDはRAID1の2台のHDDの片割れなので、全く動作しなくなっていても一応ファイアウォールは動作を続けているが、いつ残りのHDDも壊れるかわからない。もし完全に死ぬと我が家のすべてのインターネットの接続がなくなってしまうので非常に痛い。さっさと新しいHDDを追加してこちらで解説したようにRAIDを修復すればよいのだが、なんとなく躊躇させる事情があった。

その「事情」を延々と書いても仕方ないので本稿に関係するところのみにすると、要するに「最近SSDがだんだん使われてきてているようだが、信頼性と消費電力の点からメカニカルなHDDより有利そうなので、RAIDの修復ではなくSSDに新規インストールしたシステムに置き換えてみっか」ということで、例によってAmazon.comを探し、一番価格対性能比がよさそうなCrucialのV4シリーズの32GB(CT032V4SSD2)を買ってみた。

このファイアウォールという特殊な使われ方のサーバは、パフォーマンスとか記憶容量とかはあまり問題ではない。メイルやウェブサーバのインターネットへのゲートウェイとして動作しているとは言え、インターネットの接続は実測でせいぜい40Mbpsで、ファイアウォール自身はセキュリティのために当然外に見せるファイルとかは持っていないので、4~5年前に中古で買ったSuperMicroのPentium4 3GHz+2GBのマザーボード(ただしオンボードのGBEが2台ついている)に40GBのHDDの半分も使っていないというごく控えめのシステムであり、32GBのSDDで十分なのである。

さて、SSDは使えるか?

結論から言うと

大変失望した。

その顛末をちょっと書く。

システムをそれまでのHDDx2のRAIDから非RAIDのSSDに置き換える方針は決まっていたのだが、いきなりSDDにインストールした新しいシステムを動かすのはちと無謀な感じがした。たかがファイアウォールとは言え、セキュリティを確保するためのパケットフィルタからメイルのフィルタ、自分で作ったいろいろなツールが動いている。それらを検証しながら新しいシステムに再構築しなければならないので、別のマザーボードを使ってOSをインストールし、稼働中のシステムからいろいろなツールを少しづつ転送した。更に、やはりSSDという未知のデバイスなので、念には念を入れるため(と言う言い訳をして、実際にはさぼりながら)エージングと称して立ち上げたまま半年ほどほったらかしにしてあった。

そうこうしているうちに、別のバックアップ専用サーバのマザーボードが寿命を迎え、全く動作しなくなってしまったので、SSDのインストール・検証用に使っていたマザーボード(iCore2 8GB) を転用することになり、したがって「検証段階」を終えて一刻も早くSSDでファイアウォールシステムの更新をしなければならなくなった。

そこで最終テストを実行…したら、何と、SSDからブートしない

「え?そんなはずが…」と調べてみると、どうもgrubの管理する最新のカーネルイメージファイルでSSDの読出しエラーが起こっているようで、 一世代前のカーネルはちゃんと起動した。S.M.A.R.Tで見てみると、セクタの読み出しエラーが何万回か発生していて、エラー回数が増加している。前回のセクタ読出しエラーの修復のワザを使って不良セクタをリマップしようとしたが上手くいかない。どうもSSDの壊れ方のモードはHDDと違うようだ。

買ってから半年少々のSSDなので保証で交換してもらえるかと思い、Crucialのテックサポートに電話をしてみると、ファームウェアのアップデートを勧められた。まぁ、そう簡単に返品だの交換だのは受け付けないと思っていたから、まずはファームウェアのアップデートを試みることにした。当然のことながらSSD上のファイルは全てバックアップする。

 まず、検証用システムをWindowsをインストールした別のHDDでブートし、指示されたウェブページからアップデータのZIPファイルをダウンロードする。SSDはSATAポートに繋いであるがシステムの動作とは関係ないのでアップデータは自由に操作できるはず。と・こ・ろ・が、アップデータは「デバイスが見つかりません」を繰り返すのだ。アップデータの説明にUSBがどうのこうのと書かれていたので、SSDをUSB/SATAのアダプタ2種類に繋いでみたがこれもだめ。

仕方ない、またCrucialのテックサポートに電話したら、何とダウンロードしたアップデータのプログラムはブート可能なUSBドライブを作るためで、そのドライブでシステムをブートしてそこに含まれているアップデータ本体でSSDのファームウェアをアップデートするという。アップデータの説明をもう2回読んでみたが、ブート用のUSBメモリを用意しろなどとはどこにも書かれていない。まぁよく考えてみれば、一般のユーザはSSDをインストールしたままアップデートを実行しなければならないので、外部のブートドライブから起動しなければならないことは当然といえば当然で、こちらが気を聞かせ過ぎたという感じもある(しかしアップデート結果SSD上のデータは全て失われるからSSDを使えるようにするためにはOSから何からを再インストールしなければならない)。文法的に間違いだらけのアップデータのメッセージからしてきっとチュウゴクの下請けが作っているのだろうと想像し、ドキュメントの品質のことは諦めてUSBのブートデバイスを作って再挑戦してみる。

BIOSの認識できるUSBドライブの形式でFAT32ではなくFAT16にしなければならないとかで少々躓いたが、とにかくDOSがブートし、指定されたバッチファイルを走らせると、何やらよさそうなプログレスメッセージ。25%...50%...75%...100%...DONE! で喜んだのもつかの間

SELFTEST FAIL

CT032V4SSD2(32GB SSD)が
2.1MBの訳のわからないドライブに化けた
が…。何だこりゃ?
 
もう一度アップデータを走らせてみると、もうSSDを認識しない。別のHDDからLinuxを起動してS.M.A.R.TでSSDを見ると、何とこれが正体不明のモデル番号の2.1MB(GBではない、めが・ばいと)のHDDに化けているではないか!ファームウェアのアップデートに失敗し壊れたようだ。

はっきり言ってもうこのSSDを使うつもりはないが、一応Crucialのテックサポートに電話してみたところ割とすんなりと動作品に交換してもらえることになったので、交換でき次第中古品として売り飛ばす予定。

結論:SSDはまだ時期尚早の感がある。少なくとも事前にファームウェアのアップデートを施し、十分なエージングをして動作に納得がいってからでないと怖くて使えない。6年前のラップトップのHDDをSSDに置き換えるというプランもあるが、もうCrucialのSSDはご免だ

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